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デモ 040天井

デモを読み込んでいます
上の段は天井なし、下の段は天井あり(既定では 80 回目で必ず当たり)です。どちらも同じ乱数を使い、確率 3% の当たりを狙って引き続けます。段の中の棒は今の外れの連続です。数字の列は当たりまでにかかった回数で、赤は天井の回数を超えた分、緑は天井のおかげで当たった回です。下のグラフは 300 人が当たりを 1 つ得るまでに引いた回数です。下のボタンで自分でも 1 回ずつ引けます。ステージをクリックすると、スペースキーでも操作できます。どちらも押し続けると続けて引きます。

第五章 システムとバランスNo.040

天井

Pity Timer別名 天井システム、救済措置

概要

乱数で当たりを出すとき、外れが決まった回数続いたら次は必ず当たりにする仕組み。確率だけに任せると、外れが続く長さに上限がなく、運の悪い人はいつまでも当たらない。天井を置くと、1 回ごとの当たりの確率は変えずに当たりまでにかかる回数の上限を決められる。

使われる場面

敵がまれに落とす素材
集めるのに必要な素材を低い確率で落とす敵で、倒した数を数える。決まった数を倒しても落ちなければ、次は必ず落とす。素材が手に入るまでに倒す数に上限ができる。
珍しい物が入る宝箱
珍しい装備が数 % の確率で入る宝箱で、外れの宝箱が続いた数を数える。決まった数に達したら、次の宝箱に必ず入れる。
くじ引きの形で報酬を出す仕組み
目当ての報酬の確率が低いくじで、決まった回数を引けば必ず手に入るようにし、あと何回で手に入るかを画面に出す。
成功率の低い強化や合成
失敗が続いた回数を数え、決まった回数に達したら、次は必ず成功にする。失敗が続いて材料を使い果たす長さに上限ができる。

判断基準

こういうときこうする
平均の回数ならとうに出るはずなのに、その何倍も引いて出ない人がいる天井を置く。1 回ごとの当たりの確率は変えず、外れが決まった回数続いたら、次は必ず当たりにする。
天井の回数をいくつにすればよいかわからない当たりの確率 p から平均の回数 1/p を求め、その 2〜3 倍に置く。天井の回まで引く人は 2 倍なら 13% ほど、3 倍なら 5% ほどになる。
天井を足したら、珍しい物が思ったより早く集まるようになった天井が平均の回数に近すぎる。平均の回数と同じ回数に置くだけで、4 割近くの人が天井の回で当たる。天井を平均の回数の 2 倍より後ろにずらす。
天井があるのに、あと何回で当たるのかわからず不安なまま引いている天井までの残りの回数を、引く画面に数字で出す。
天井の回でだけ当たるのが見え見えで、その手前の回が数合わせに感じる天井の手前から外れるたびに当たりの確率を上げる形にする。上げ始める回を早くするほど平均の回数が減るので、上げ始める回は天井の近くに置く。
目当てと違う当たりが出たら、天井までの数が 0 に戻ってがっかりした数え直すのは天井で約束した物が出たときだけにする。何が出たら数え直すのかを天井の説明に書く。
攻撃の会心のように何度も繰り返す判定で、外れの連続が気になる天井ではなく「シャッフルバッグ」で、決まった回数の中の当たりの数そのものを決める。

遊んでこう感じたら

  • 欲しいものがいつまでも出ない理不尽さ
  • あと何回やれば出るのかわからない理不尽さ
  • ほかの人はすぐ出たのに、自分だけ出ない理不尽さ

指示の例

  • レア素材を 3% で落とす敵を 150 体倒しても出なかった。レア素材に天井を付けて、80 体倒しても落ちなければ次は必ず落とすようにして

  • 天井があるのに、あと何回で出るのかがわからなくて不安。天井までの残りの回数をくじの画面の隅に数字で出して

  • 天井の 80 回目でだけ急に当たるのが見え見えで、その前の 60 回が作業に感じる。天井の形を、60 回を過ぎたら外れるたびに確率を上げて 80 回目で必ず当たる形に変えて

  • 天井を 30 回にしたら、確率 3% の当たりが 20 回に 1 回ほど出るようになってありがたみがなくなった。天井を 70〜100 回に上げて

詳細

確率だけに任せたときの外れの続き方

宝箱を開ける、敵を倒して落とす物を見る、くじを引くのように乱数で報酬を決める場面では、1 回ごとに決まった確率で珍しい物が出る。以下では、宝箱を 1 つ開けるような 1 回の試みを引くと呼ぶ。狙っている珍しい物が出ることを当たり、それ以外を外れと呼ぶ。

当たりの確率を p とすると、n 回続けて外れる確率は (1 - p)^n である。この値は n をどれだけ大きくしても 0 にはならない。確率だけに任せると、外れが続く長さに上限はない。

デモの既定の p = 3% では、当たりまでにかかる回数の平均は 1/p で 33.3 回である。半分の人は 23 回以内に当たる。一方で、100 回続けて外れる人が 4.8%、150 回続けて外れる人が 1.0% いる。遊ぶ人が 1 万人いれば、150 回引いても当たらない人が 100 人ほど出る。デモの 300 人でも、いちばん運の悪い人は当たるまでに 178 回引いている。平均の 5 倍を超える回数である。この人にとって確率 3% という説明は、自分が遊んだ結果と合わない。

天井の仕組み

そこで、外れが続いた回数を数えておく。決まった回数まで外れが続いたら、次の 1 回は乱数によらず当たりにする。この仕組みを天井と呼び、必ず当たる回が何回目かを天井の回数と呼ぶ。天井の回数が 80 なら、外れが 79 回続いた次の 80 回目は必ず当たる。当たったら、外れの数は 0 から数え直す。

// 1 回引く。streak は今の外れの連続
function draw(): boolean {
  const hit = streak + 1 >= PITY || random() < CHANCE;
  streak = hit ? 0 : streak + 1;
  return hit;
}

天井の回数に届くまでは、1 回ごとの当たりの確率は p のままである。天井が決めるのは当たりまでにかかる回数の上限だけで、どんなに運の悪い人も天井の回数だけ引けば当たる。

天井はくじ引きの形で報酬を出す仕組みの言葉として知られている。しかし、仕組みそのものは乱数で結果を決めるものならどれにも付けられる(宝箱の中身、敵が落とす物、成功率の低い強化など)。

デモで比べていること

デモの 2 つの段は同じ乱数の列を使い、同じ回数だけ引く。同じ回には同じ乱数を使うので、下の段が天井に届くまでは 2 つの段の結果は同じになる。下の段が天井で当たると、その回だけ下の段の当たりが 1 つ増え、外れの数え直しが始まる。以下の数値は操作パネルが既定のとき(当たりの確率 3%、天井の回数 80、天井の回で必ず当たる形)のものである。

自動再生では、初めの当たりまでに外れが 114 回続く乱数の列を見せている。上の段は 115 回目で初めて当たる。下の段は 80 回目に天井で当たり、次の当たりは上の段と同じ 115 回目に来るので、2 つ目の当たりまでは 35 回である。上の段の 115 回という長い外れの連続を、天井が 80 回と 35 回の 2 つに分けている。その後はどちらの段も外れの連続が 80 回に届かないので、同じ回に当たる。

天井で変わる回数

デモの下のグラフは 300 人が当たりを 1 つ得るまでに引いた回数である。2 つの段では同じ人に同じ乱数の列を使っている。天井なしの段は平均が 33.1 回で、式で求めた 33.3 回に近い。天井ありの段では、80 回を超えて引いていた 26 人が 80 回目で当たるようになる。分布の右に長く伸びる裾が 80 回で切れて、そこに山ができる。

それでも、平均の回数は 33.1 回から 30.4 回に減るだけである。運の悪いほうから 1 割の人(90 パーセンタイル)の回数も、どちらの段も 76 回で変わらない。大きく変わるのはそれより運の悪い人の回数で、いちばん運の悪い人は 178 回から 80 回になる。

天井の回数を N とすると、当たりまでにかかる回数の平均は (1 - (1 - p)^N) / p になる。k 回目を引くのはそれまでの k − 1 回がすべて外れたときだけなので、引く回数の平均は (1 - p)^(k - 1) を k = 1 から N まで足した値になるからである。p = 3%、N = 80 では 30.4 回で、300 人の平均と合う。天井なしの 1/p と比べると、平均の回数は (1 - p)^N(既定では 8.7%)の割合だけ減る。この割合は天井の回まで引く人の割合 (1 - p)^(N - 1)(9.0%)とほぼ同じである。外れの続き方はそれまで何回外れたかによらない。そのため、天井の回まで引いた人は、天井がなければそこから平均で 1/p 回近く引き続けていた。天井が減らすのはこの人たちの回数だけなので、平均の回数の減る割合は天井の回まで引く人の割合に近くなる。

天井の回数の決め方

天井の回数は平均の回数 1/p の何倍に置くかで決める。天井の回まで引く人の割合と平均の回数の減りは、どちらもほぼ (1 - p)^N である。この値は、p が小さいときは倍率だけで決まる。N を平均の回数の k 倍(k/p)にすると、(1 - p)^N は p によらず e の −k 乗に近づくからである。2 倍に置くと、天井の回まで引く人も平均の回数の減りも 12〜14% になる。3 倍では 4〜5%、4 倍では 2% を切る。デモの既定の 80 回は 33.3 回の 2.4 倍で、天井の回まで引く人は 9.0%、平均の回数の減りは 8.7% である。操作パネルで当たりの確率を 1〜10% のどこにしても、同じ倍率ならこれらの割合はほとんど変わらない。

天井は平均の回数の 2〜3 倍に置く。救うのは運の悪いほうの 4〜14% の人だけになり、平均の回数の減りも同じくらいに収まる。救いたい人の割合が決まっているなら、そこから逆に決める。天井の回まで引く人を r の割合にしたいなら、(1 - p)^(N - 1) = r を満たす N を選ぶ。p = 3% で 5% の人を救うなら、天井の回数は 99 回ほどになる。

天井を平均の回数に近づけすぎると、天井が当たりの出方そのものを決めてしまう。平均の回数と同じ回数に置くだけで、4 割近くの人が天井の回で当たる。手前に置くほどこの割合は増える。当たりは確率で出る物というより、決まった回数ごとに出る物になる。報酬を決まった間隔で出したいなら、天井ではなく「報酬の間隔」の作りで考える。

天井までの残りを見せるか

天井までの残りの回数を画面に出すかどうかで、天井の働きが変わる。

残りを出すと、プレイヤーはあと何回で必ず手に入るかを知ったうえで、引き続けるかどうかを決められる。デモの下の段は段の右上に天井までの残りを出している。

残りを隠すと、天井は極端に運の悪い人を知らせずに救う仕組みになる。プレイヤーはあと何回で当たるかを知らないまま引くが、どんなに運が悪くても天井の回数を超えて外れが続くことはなくなる。

プレイヤーが引く回数を自分で選ぶ仕組み(くじを引く、宝箱を開けるために鍵を使う、など)では、残りを出す。敵を倒しながら進む流れの中で落とす物のように、引いた回数を数えさせたくない場面では隠してよい。

当たったら数え直すか

外れの数は当たりが出たら 0 に戻す。当たりが何種類もあるときは、どれが出たら数え直すのかを決めておく。数え直すのは天井で約束した物(目当ての物)が出たときだけにする。目当て以外の当たりでも数え直すと、目当ての物が出るまでの回数には上限がなくなるからである。

くじの中身が入れ替わる、別の面に移るなどのときに、それまでの外れの数を引き継ぐかどうかも決める。引き継がないと、入れ替わる直前まで引いた人は天井の手前まで積み上げた分を失う。どちらにするかを天井の説明に書いておく。

外れるたびに確率を上げる形

天井の回でいきなり 100% にする代わりに、天井の手前から外れるたびに当たりの確率を上げていく形もある。デモの操作パネルの「手前から確率を上げる」は、天井の回数の 4 分の 3 を過ぎたら外れるたびに確率を同じ幅ずつ上げ、天井の回で 100% にする。天井の回数が 80 なら 61 回目から上がり始め、61 回目は 7.9%、70 回目は 51.5%、80 回目は 100% になる。

グラフでは 80 回目の山が、61〜72 回目に広がったなだらかな山に変わる。300 人のうち、上げた確率のおかげで当たった人は 47 人である。いちばん運の悪い人も 72 回目で当たり、80 回目まで引いた人はいない。その分、平均の回数は 28.7 回になり、天井の回で必ず当たる形の 30.4 回よりさらに減る。上げ始めた回から先は 1 回ごとの当たりの確率そのものが上がるからである。

天井の回で必ず当たる形では、当たりやすさが天井の回で急に変わり、天井の回だけが特別な回になる。確率を上げる形では、当たりやすさが少しずつ変わるので、どの回で当たるかは最後まで乱数で決まる。

上げ始める回を早くするほど、平均の回数は減る。当たりの確率 3%、天井の回数 80 のまま式で求めると、天井の回数の半分を過ぎたら上げ始める形では平均の回数は 25.5 回になる。1 回目から上げると 9.1 回で、当たりの確率を上げたのと変わらなくなる。平均の回数を保ちたいなら、上げ始める回を天井の近くに置くか、天井の回数を後ろにずらす。

ほかの仕組みとの違い

外れの連続を抑える仕組みには「シャッフルバッグ」もある。シャッフルバッグは当たりと外れを決まった数ずつ袋に入れ、袋から順に取り出す。袋の大きさが 33 で当たりが 1 つなら、33 回のうちに当たりは必ず 1 回出て、外れが続くのは最長で 64 回である。袋は決まった回数の中の当たりの割合そのものを決める。天井は 1 回ごとの当たりの確率を p のまま保ち、外れが続く長さの上限だけを決める。天井の回数より手前では、当たりが続けて出ることも長く外れることも確率どおりに起きる。当たりの割合を短い区切りでそろえたい判定(攻撃の会心など)には袋を、珍しい物を確率で出したまま運の悪い人だけを救いたいときには天井を使う。

「動的難易度調整」も結果の悪いプレイヤーを助ける仕組みである。動的難易度調整は、失敗が続いたら敵の強さなどの難しさを下げる。天井は報酬の出方だけを変え、難しさには手を付けない。

関連項目