ゲームを知る

デモ 019段階的な開示

デモを読み込んでいます
上の段は全部の項目を一つの一覧に並べた設定画面、下の段はよく使う項目だけを先に並べて残りを「詳細」にまとめた設定画面です。同じ項目を最短の操作で、上の段で選んだ後に下の段で選んでいます。下のボタンで自分でも試せます。ステージをクリックすると、キーボード(↑ ↓ で移動、Z か Enter で決定、X で戻る)でも操作できます。

第三章 UINo.019

段階的な開示

Progressive Disclosure別名 段階的開示、プログレッシブディスクロージャー

概要

メニューや機能を最初から全部並べずにいま要るものだけを見せ、残りは入り口の奥にまとめるか、使う場面が来てから出す作り方。最初に目で探す項目が減り、よく使う項目に少ない操作で届く。隠した項目には入り口を開く手間が加わり、入り口が見つからなければ使われない。そこで、最初の画面にはよく使う項目と遊び始める前に要る項目を残す。

使われる場面

設定画面
音量や字幕の大きさのように、よく変える項目と遊び始める前に要る項目を最初の画面に並べ、ボタンの割り当てのような細かい項目は「詳細」の奥にまとめる。
装備や強化の画面
攻撃力や防御力のように、選ぶときに比べる数値だけを一覧に出し、耐性や細かい効果はその装備を選んで詳しく見たときに出す。
ゲームの序盤
合成や育成のような機能を最初から全部メニューに並べずに、使う場面が来た時点で一つずつ出す。出すたびに短い説明を添え、一度に覚えることを減らす。
HUD
体力や弾数などの表示を、その仕組みがゲームに出てきた時点で画面に加える。まだ使わない仕組みの表示で画面を埋めない。
操作の説明
移動やジャンプのような基本の操作を先に教え、組み合わせの技や慣れた人向けの操作は基本に慣れた後の場面で見せる。

判断基準

こういうときこうする
メニューを開くと項目が画面に収まらないほど並び、よく使う項目を探すのに時間がかかるよく変える項目、遊び始める前に要る項目、合っていないと遊べない項目だけを最初の画面に残し、よく使う順に並べる。残りは一覧の最後に置いた「詳細」の入り口の奥に、分類の順にまとめる。
使いたい項目や機能がどこにあるかわからない、という声が出る隠しすぎている。よく探される項目を最初の画面に移すか、入り口の名前を中身の見当がつくもの(「音の詳細」「操作の詳細」など)に変える。
入り口の奥にさらに入り口があり、目的の項目まで何度も開く必要がある隠す段を 1 段にまとめる。段が増えるほど開く手間が増え、どの順に開いたかも覚えておく必要が出る。
ゲームの最初から使い方のわからない機能がメニューにたくさん並ぶ機能ごとに使う場面が来た時点で出す。出したときに短い説明を添え、新しく出た機能にはプレイヤーが開くまで印を付ける。
設定の初期化のような取り消せない操作がよく使う項目のそばにある最初の画面から外し、「詳細」の中の最後に置く。押したときは実行する前に確認を挟む。
慣れたプレイヤーが毎回「詳細」を開く手間を嫌う最後に開いた画面とカーソルの位置を覚えておき、次に開いたときはそこから始める。よく開く画面には直接開くボタンを付ける。
設定の項目がゲームを進めるまで選べない設定は最初からすべて選べるようにする。明るさや字幕の大きさのように、遊び始める前に要る項目があるため。

遊んでこう感じたら

指示の例

  • 設定画面の項目が多すぎて、音量の項目を探すのに時間がかかる。設定画面を段階的な開示にして、最初の画面には音量、字幕の大きさ、明るさなど 4 項目くらいだけを並べ、残りは一番下の「詳細」の中にまとめて

  • ゲームを始めたとたんに合成や強化のメニューが全部並んでいて、何から触ればいいかわからない。段階的な開示で、合成は最初の素材を拾ったとき、強化は最初のボスを倒した後にメニューに出して、出たときに一言だけ説明を出して

  • 段階的な開示にしたら、振動を切る項目がどこにあるかわからなくなった。「詳細」を「音の詳細」と「操作の詳細」の二つに分けて、名前で中身がわかるようにして

  • 慣れてくると、毎回「詳細」を開くのが面倒。段階的な開示はそのままにして、最後に開いた画面とカーソルの位置を覚えておき、次に設定を開いたらそこから始めて

詳細

全部を一度に並べたとき

設定画面に選べる項目をすべて一つの一覧に並べたとする。プレイヤーは目的の項目を探すたびに、並んだ項目に目を通すことになる。遊び始めたばかりのプレイヤーには、まだ意味のわからない項目まで並ぶ。

項目の多い一覧は探しやすいよう分類ごとにまとめて並べる。すると、よく使う項目も分類の中の位置に置かれ、一覧の下のほうに来ることがある。デモの上の段は 8 個の項目を画面、音、操作、字幕の分類の順に並べている。よく使う字幕の大きさが一覧の最後にある。字幕の大きさを選ぶには下を 7 回押してから決定を押すので、8 回の操作がかかる。

いま要る項目だけを最初に見せる

そこで、最初の画面にはいま要る項目だけを並べ、残りは必要になったときに開けるようにする。この作り方を段階的な開示と呼ぶ。残りの項目は「詳細」のような入り口の奥にまとめるか、ゲームが進んで使う場面が来てから出す。

デモの下の段はよく使う 4 個の項目と「詳細」の入り口だけを最初の画面に並べ、残りの 4 個を「詳細」の中にまとめている。字幕の大きさは 3 回、BGM の音量は 1 回の操作で選べる。デモの「目で探す項目」は、目的の項目を選ぶまでに開いた画面に並んでいた項目の数を画面ごとに足したものである。上の段では毎回 8 個、下の段では最初の画面で選べれば「詳細」の行を含めて 5 個になる。

操作の回数の差はどこから来るか

操作の回数の差には並べ方の差も含まれている。操作パネルで上の段の並びを「よく使う順」にすると、字幕の大きさと BGM の音量は下の段と同じ 3 回と 1 回で選べる。ただし、上の段で目で探す項目は 8 個のままである。声の音量が BGM と効果音の音量から離れるように、同じ分類の項目がばらばらになる。下の段は最初の画面をよく使う順に、「詳細」の中を分類の順に並べているので、どちらの並べ方の利点も持つ。

カーソルの動かし方によっても操作の回数は変わる。デモのカーソルは一覧の端で止まる。端から反対の端へ回り込む作りなら、上の段の字幕の大きさには上と決定を 1 回ずつ押す 2 回で届く。一方、目で探す項目の数は並べ方にもカーソルの動かし方にもよらず、最初の画面に並べる項目の数で決まる。段階的な開示が直接減らすのは、この目で探す項目のほうである。

隠した項目にかかる手間

隠した項目を選ぶには入り口を開く手間が加わる。デモのボタンの割り当ては「詳細」の中にあり、上の段では 7 回で選べるのに、下の段では「詳細」を開く操作を含めて 9 回かかる。上の段をよく使う順にした場合と比べても、上の段の 8 回に対して 9 回で、「詳細」を開く決定の 1 回が多い。目で探す項目も最初の画面の 5 個と「詳細」の中の 4 個を合わせて 9 個になり、上の段の 8 個より多い。

全体として手間が減るかどうかは、項目ごとの手間の増減にその項目を選ぶ回数を掛けて足し合わせるとわかる。隠す項目を、選ぶ回数の少ないものに限れば、入り口を開く手間はたまにしかかからない。何を隠すかを、使う回数で決めるのはこのためである。

最初に見せる項目の選び方

最初の画面には次のどれかに当たる項目を残す。

  • よく変える項目:音量のように、遊んでいるあいだに何度も変える項目。
  • 遊び始める前に要る項目:明るさや字幕の大きさのように、最初の場面を見る前に合わせておきたい項目。
  • 合っていないと遊べない項目:カメラの上下の反転のように、プレイヤーの慣れと逆だと思いどおりに動かせなくなる項目。使う人が少なくても、最初の画面に出す。

最初の画面はスクロールせずに見渡せる数にとどめ、よく使う順に並べる。デモの「最初に見せる項目の数」を 2 個まで減らすと、字幕の大きさも「詳細」の中に入り、選ぶのに 9 回かかる。全部を並べた上の段の 8 回より多い。逆に 7 個まで増やすと、最初の画面は「詳細」の行を含めて 8 個になり、目で探す項目は上の段と変わらない。

設定の初期化のような取り消せない操作は最初の画面に置かない。よく使う項目のそばにあると、カーソルを動かしている途中で押し間違えたときに取り返しがつかない。「詳細」の中の最後に置き、押したときは実行する前に確認を挟む。

隠した項目への入り口

隠した項目は入り口が見つからなければ使われない。入り口は最初の画面の決まった位置(デモでは一覧の最後)に置き、開くと別の画面に進むことを右向きの三角のような印で示す。

入り口の名前は中身の見当がつくものにする。「その他」のような名前では、目的の項目がその奥にあるかどうかを開いてみるまで判断できない。項目が多ければ、「音の詳細」「操作の詳細」のように分類ごとに入り口を分ける。入り口の数だけ最初の画面の項目は増えるが、どの入り口を開けばよいかが名前でわかる。

隠す段は 1 段にとどめる。入り口の奥にさらに入り口を作ると、段の数だけ開く手間が増え、どの順に開いたかを覚えておく必要も出る。

ゲームの進み具合に合わせて出す

段階的な開示はメニューの項目だけでなく、ゲームの機能にも使う。合成や育成のような機能が最初から全部メニューに並んでいると、遊び始めたばかりのプレイヤーはどれから触ればよいかを判断できない。そこで、機能ごとに使う場面が来た時点で出す。たとえば、合成は最初の素材を手に入れたとき、育成は最初の戦いに勝った後に出す。ゲームの進み具合に合わせて機能を出すことを機能解放と呼ぶ。

機能を出すときはその場で短い説明を添え、一度使わせる。「チュートリアル」を最初にまとめて見せる代わりに機能が出るたびに分けて見せるので、プレイヤーは一度に一つずつ覚えられる。新しく出た機能にはプレイヤーが開くまで印を付けておく。印がないと、出たことに気づかないまま進むことがある。

設定の項目は進み具合で隠さない。明るさや字幕の大きさのように、遊び始める前に要る項目があるからだ。

隠しすぎたとき

隠しすぎると、プレイヤーは使いたい機能を見つけられず、その機能がないと思い込むこともある。「使いたい機能がどこにあるかわからない」という声が出たら、その機能を最初の画面に移すか、入り口の名前を中身のわかるものに変える。先へ進むのに欠かせない機能は使う場面より前に出し、出したことを知らせる。

慣れたプレイヤーのための近道

慣れたプレイヤーには毎回入り口を開く手間が負担になる。最後に開いた画面とカーソルの位置を覚えておき、次にメニューを開いたときはそこから始める。この作りなら、デモのボタンの割り当ては 2 回目から決定を 1 回押すだけで選べる。よく開く画面にはボタン一つで直接開ける近道を付ける。

作り方

最初の画面の項目はよく使う順に並べた一覧の先頭から選び、残りは分類の順のまま「詳細」の中に入れる。

// items は分類の順に並べた全部の項目、byUse は同じ項目をよく使う順に並べたもの
const shownCount = 4; // 最初の画面に並べる項目の数
const shown = byUse.slice(0, shownCount);
const topScreen = [...shown, moreEntry]; // 最後に「詳細」の入り口を置く
const detailScreen = items.filter((item) => !shown.includes(item)); // 分類の順のまま

// 決定を押したとき
if (selected === moreEntry) openScreen(detailScreen);
else openSetting(selected);

情報の優先度との違い

「情報の優先度」は同時に見せる情報のあいだで大きさや位置に差を付け、どれから目に入るかを決める。段階的な開示は情報をいつ見せるかを決める。最初の画面の項目が多すぎるときは、段階的な開示で項目を減らし、残った項目のあいだの差は情報の優先度で付ける。

関連項目